秋元 隆志先生のページ

担当科目

大学院:精神医学特論、精神薬理学特論

大学:精神看護学Ⅰ

 

研究概要

 私は、医師(精神科医)ですので、フロンティア大学では、医療領域の心理療法について講義や指導をやっています。

 普段の時間の多くは、フロンティア大学の附属施設である、「文京クリニック」という診療所で、精神科医として、臨床心理士の先生と一緒に、臨床活動を行っています。

 

 「精神科医と心理療法士はどう違うか?」と言われると、薬を処方するのが大きな違いですが、対象となる患者さんやクライアントが、明確に区別できるかというと、そうではありません。(ちなみに心療内科医という科がありますが、これは心身両面からストレスや体の病気を見ていこうという科です。日本では内科の一部ですが、精神科臨床とはオーバーラップするところが多く、重要な領域です)

 治療において、薬物治療の比重の大きい統合失調症や重症うつ病の患者さんでも、心理的アプローチによって、劇的に改善し得る時があるのは、昔から精神科の世界では良く知られています(もちろん逆に心理的ストレスで悪化もします)。

 精神科以外の医学領域でも、例えば現代医療の中心と言っても良いガン治療や、新生児集中治療室などでも、ますます心理療法の重要性が言われるようになっています。実際に、厚労省による研究や実践の指導が進んでいます。

 

 そんな中で、私の専門領域は何かと言われますと、最初に言ったように「文京クリニック」が、主な舞台ですので、外来での(入院治療ではない)精神科医療になります。

 対象疾病は、神経症、うつ病、パニック障害、パーソナリティ障害、発達障害などです。(精神科の病気は、症状観察に基づいて分類され、それぞれ定義は決まっていますが、重なり合う所もあり、内科や外科のように、ここの臓器がこう障害されているのを対象にすると、明確に語れないのは残念なところです)

 治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせることになります。

 精神科薬物療法は、日進月歩で、新しい科学的な知見について行くことが必須ですが、ストレスをどう減らすかということを考えると、心理療法の展開と切っても切り離せないものです。

 心理療法面では、多くの症例では臨床心理学の先生方と一緒に治療しています。

 私自身の心理療法領域への研究テーマは、フロイトによって創始された精神分析的な精神療法で、主にクライン派の考えに立脚しています。

 簡単に言いますと、人間の精神活動の多くは、無意識的なファンタジーの動きが基盤にあると考えて、その動きへの洞察を深めていくことで、治療効果やパーソナリティの成長を考えるものです。

 動きへの洞察を深める機会としては、日々の生活の報告、治療者と患者の間の感情の吟味、転移(幼いころから繰り返される人間関係のパターン)の吟味、夢解釈など、治療場面での現実(here & now)を重視した方法が中心です。ある一群の患者さんの心理療法においては、この接近法や考え方が不可欠なように思います。

 

 現代は忙しく、人間同志で心を通わせる時間が少なくなっています。人間は、仲間が居て、気持ちが落ち着いていれば、本来、自分にベストの選択をして行けるように出来ていると思います。医療現場での心理療法は、逆境にある患者さんが多く、大変ですが、それでも多くの場合、最終的には、折り合いや解決を見つけて行かれます。そういう状況を共に見て行くことは、重要な仕事とも言えますが、忘れられがちな人間の営みの一つであると考えています。