三島瑞穂先生のページ

研究の概要

人の豊かな心の働きに論理がどのように影響をしているのかを探求したいという思いが初めの研究動機でした。博士課程においては子どもが論理的知能を獲得する動態・ダイナミズムに関する数学的なモデル化の研究を行いました。その結果、子どもも大人も思考の多様性を持っていることは同様ですが、その在り様には明らかな違いがあることを見出しました。同じ課題に対し複数の思考方法が存在するとき、大人は複数の思考方法の関係性を理解します。一方子どもにおいては、例え課題の解答が同じであったとしても、思考行為としては異なるものとして理解されます。そして、子どもが大人になることは、それぞれの思考方法における認知構造を明確に理解し、構造の関係性を構築していく動態的なプロセスでもあります。

このことは大人が新しい技術や知識を習熟する際にもあります。覚えたての頃は特定の方法や手順にこだわり、応用や柔軟な対応ができませんが、習熟してくると、臨機応変さが現れ、複数の方法を自在に使えるようになります。

宇部フロンティア大学に着任したのは、博士課程在籍中に発達障害治療の第一人者である酒木保教授(宇部フロンティア大学)の主催する臨床心理の研究会に参加し、そこで子どもの発達障害に関する知見を深めたことがきっかけです。その後、酒木教授からアートセラピーやカウンセリング等の実践的な臨床技法を学ぶとともに、アメリカで発展したカウンセリング、コーチング、トラウマ治療等の技法であるNLP(Neuro-Linguistic Programming)マスタープラクティショナーの資格を取得しました。今では、人の学ぶ力を引き出すアプローチやセラピーの方法を模索しています。学生だけでなく、一般の方向けのセラピーも行っています。

 

《業績の一部》

三島瑞穂・菊池誠 (2009) 類包含推論の認知構造の多様性の数学的側面について. 科学基礎論研究 36(2), 53-57

三島瑞穂 (2010) 論理的思考の多様な認知構造に関する数学的考察. 神戸大学大学院自然科学研究科, 博士論文

Mizuho Mishima (2014) “Art Therapeutic Techniques Based on Drawing and Story Making” Asian Arts Therapy Conference in Korea.

<プロフィール>

学生時代は認知科学や数理論理学を専攻。博士論文で発達心理学に数理論理学の手法を導入する研究を行った際に、発達障害児の知的機能を引き出すための心理療法に出会い、それぞれの人間が本来持つ能力と個性を活かす方法に関心を持つ。現在は理科系出身で学術横断的な研究を行った経験を活かし、知能検査における認知過程をモデル化することで発達障害を持つ子どもの能力を引き出す研究を行っている。

 

 

<ゼミの方針・進行中のゼミのテーマ>

学生、大学院生及び長期履修学生が、各人の個性と興味関心を活かして研究しています。全員がテーマも勉強のスタイルも異なりますので、マンツーマンでの指導が中心です。テーマを一部ご紹介します。

 

「地域に根付いたお産の文化」「看護学生におけるケースカンファレンスの重要性」「不妊カウンセリング」「家族機能に関する研究」「家族間関係が及ぶす恋愛観への影響」「日中の幼児教育に関する考え方の比較」「発達障害児の母親への支援の在り方」「兄弟間の関係が成長後のパーソナリティにどのような影響を与えるか」「文化を背景とする死生学(仮題)」「日中間の子育て観の違い」「中国の若者問題に文化と政治がどのように関わっているか」「アニマルセラピーの国際比較」「民俗学から捉えた日本人の生活誌」※

 

※進行中の研究のため、論文の表題とは異なります。

 

 

<ひとことメッセージ>

「楽しい」と思えることから始めましょう。またリラックスしながら集中すると学習が進みます。

 

 

<担当科目>

(大学)

生涯発達心理学、子どもの発達と学習、障害発達心理学、教育心理学、学習心理学、臨床心理実習

(大学院)

生涯発達心理学特論、心理統計法演習

 

 

<質問コーナー>

Q:先生にとって心理学の魅力は何ですか?

A:心を深く理解していくこと。

 

Q:教育の中で大切にしていることを教えてください

A:自分の中の興味・関心に気づき、伸ばしていくこと。

 

Q:フロンティア大学の魅力は何ですか?

A:少人数であること。ケアの気持ちが育つこと。

 

Q:最近の関心事を教えてください

A:講義で「好き」、「楽しい」を引き出すこと

 

Q:好きなことは何ですか?

A:美術館・博物館・本屋めぐり

 

Q:座右の銘を教えてください

A:感謝

 

Q:先生のほっとする時間,ほっとする場所は何ですか?

A:コーヒータイムと散歩のとき